独自のVHH / peptideライブラリ
- PharmaLogical®ライブラリ
- PharmaLogical®ライブラリは三井情報株式会社との共同研究によって開発された創薬を指向したヒト化VHH抗体ライブラリです。
- The concept of PharmaLogical®ライブラリのコンセプト
構造ベースの設計
不均一性の最小化
ライブラリ多様性
≧10¹³⁻¹⁴ヒト化FR
- 構造ベース設計―VHH 抗体の構造データの解析を基にしたデザイン―
- 当社は、三井情報株式会社との共同研究で、データベース上に報告されている400以上の既知のラクダ科動物由来VHH抗体の構造データの解析により、抗原認識に重要な部位であるCDR3の構造が(A)Upright型、(B)Half-Roll型、(C)Roll型の3つに大きく分類することができ、この構造分類と配列との間に規則性を見出すことに成功しました。(Murakami et al. 2022)
- PharmaLogical®ライブラリはこれらの解析データを基にデザインしたヒト化VHH ライブラリです。そのため、このライブラリはVHH抗体の特徴であるCDR3の構造多様性を有する設計になっております。
- ヒト化フレームワーク領域(FR)デザイン
- VHH抗体はそのまま人間に投与されると異物と判断されてアレルギー反応が起こってしまうため、「ヒト化」と呼ばれる人間が持つ抗体に似せるプロセスが必要となります。PharmaLogical®ライブラリはすでに抗体フレームワーク領域にヒト化を行ったVHHのライブラリであり、スクリーニングで取得されたVHHに対してヒト化プロセスを行う必要がありません。
- 膨大なライブラリ多様性―10¹³⁻¹⁴―
- 抗原認識部位を形成するCDR はアルパカ由来VHH から得られた構造特性の情報を基に設計しており、特に抗原結合に最も寄与することが知られているCDR3を大きくランダム化することで、さらなる多様性を発揮します。また、当社のもつcDNA displayではこの多様性を扱うことが可能です。
- 不均一性の最小化―製剤化における不均一性を引き起こすアミノ酸の出現頻度に抑制をかける設計―
- 修飾を受けやすいアミノ酸や、システイン、プロリン残基のような大きな構造変化を引き起こす可能性のあるアミノ酸は製剤化プロセスにおける不均一性を引き起こす原因となります。これらのアミノ酸の出現頻度を抑制する設計を行うことで、創薬プロセスで生じる課題を最小化できることが期待できます。
- PharmaLogical®ライブラリのデザイン
- 以上の研究・データをもとにデザインされたのがPharmaLogical®ライブラリです。PharmaLogical®ライブラリでは従来抗体ではほとんどみられないCDR3構造であるUpright型、Roll型をもつように、それぞれのCDR3タイプを有する2種類のサブライブラリを設計しました。各サブライブラリは特徴的なCDR3の構造を再現するようにCDRの長さやフレームワーク配列に異なる設計が施されております。
関連論文:Murakami, T., Kumachi, S., Matsunaga, Y., Sato, M., Wakabayashi-Nakao, K., Masaki, H., Yonehara, R., Motohashi, M., Nemoto, N., & Tsuchiya, M. (2022). Construction ofa Humanized Artificial VHH Library Reproducing Structural Features of Camelid VHHs for Therapeutics. Antibodies (Basel), 11(1). https://doi.org/10.3390/antib11010010
- EME環状ペプチドライブラリ
- 当社では独自の環状ペプチドライブラリを保有しております。
- EME環状ペプチドライブラリの特徴
- 両末端付近にあるシステイン残基間を架橋剤にて環状化(構造安定化、分解酵素から守る)
- ランダムアミノ酸領域の組成に特徴を持たせる
- ランダムアミノ酸領域の鎖長6残基から30残基まで可能
関連論文:Anzai H, Terai T, Wakabayashi-Nakao K, et al. Interleukin-17A Peptide Aptamers with an Unexpected Binding Moiety Selected by cDNA Display under Heterogenous Conditions. ACS Medicinal Chemistry Letters. 2021 Sep;12(9):1427-1434.
DOI:10.1021/acsmedchemlett.1c00217. PMID: 34531951.